シムーン

2006年放送のアニメ。
人が必ず最初は女性として生まれてくるどこか別の惑星「大空陸」を舞台に、神の乗機「シムーン」に乗り巫女でありながら兵士として戦う少女たちの物語。
イマジナリーを掻き立てる映像、独特のメカデザイン、タンゴを主体とした優雅な音楽、登場人物の気高さを求める精神など美しさに溢れる作品です。
子供のうちはみな女性であるという設定から女性同士で恋愛するのが普通で、百合的にはコール・テンペストの12人それぞれの人間関係など濃厚な描写が見れます。しかし「思春期への憧憬」「戦争と宗教」「人生の選択」など様々なテーマを真剣に描く作品で百合だけに注目するのは勿体ないです！
見る上での注意点は、作劇がアニメの文法でなく、文学的な文法で成り立っていることでしょう。だからキャラが自分たちのおかれている状況を大人たちに意図的に曖昧にされている複雑な状況が描かれたり、場面によってキャラが矛盾した事を言ったりする。普通のアニメを見てる感覚だとわからなくなるかもです。
人物描写は素晴らしい。どのキャラも現実にいそうな多面的な造形なのです。個性も様々なので一人くらいは琴線に触れるキャラがいると思います。私はユンに感じ入るものがありました。「死んだ者を救うことなどできるわけがない…」普段の自分を包んでいる虚飾、それを思い知らされました…
総評として、圧倒的な美的センスとオリジナリティに溢れた傑作。百合を志すかたは是非ご視聴を！

架空世界を舞台に、近隣国との戦争に身を投じることを迫られた少女たちの姿を描いた作品。17歳まではみな女性として生きるという設定であるため、女性同士の恋愛が特別視されない世界観となっています。

メインキャラは約12人と多いですが、大人と子どもの狭間で揺れる少女たちの想いを掬いとるような、丁寧な心理描写が印象的。組み合わせも、幼なじみや姉妹、身分差など多種多様で見応えたっぷりです。
リモネとドミヌーラさんには、年の差カプの魅力を教えていただきました(笑)

特殊な設定のため「百合」とカテゴライズするのが適切かは分かりませんが、世界観、ストーリー、背景や音楽など、どこをとっても重厚で素晴らしい作品です。
ファンタジー好きの方はもちろん、繊細で切ない恋が見たい方にもおすすめしたい作品。傑作です。