終末のイゼッタ

あらすじは上で紹介されているのでそちらに譲ります。この作品で描かれる百合は、友達の延長線上にあるほほえましい百合とは全く違うものでした。もちろんそういう百合も大好きなのですが、この作品のような真に互いを想う愛を越えた百合の美しさもまた格別でした。途中の１話を除いて全てが(その１話にも所々入る)シリアスなので、アニメに癒しだけを求めている人には向いていないように思えます。とても美しく心が豊かになるような作品でしたが、１つだけ文句を言わせてもらうとするなら、完全にハッピーエンドにするのではなくイゼッタが死んでしまっていた方が儚さを感じられてよりよかったのではないかなーと個人的には思いました。

強大な魔女の力を持ったイゼッタと、小国エイルシュタットの公女フィーネ。その二人の少女が、ともに手を取り合い、大国ゲルマニア帝国の侵略に立ち向かっていくという架空戦記物です。

第二次大戦をモデルにした架空戦記に魔女というファンタジー要素を加えた、という点ではストライクウィッチーズやブレイブウィッチーズなどに似ていると思われるかもしれませんが、作風はそれらと全く違います。
ウィッチーズシリーズではネウロイという人外の存在が敵でしたが、本作では人間同士の争いとしての戦争が生々しく描かれるため、多くの登場人物が死んでいくハードでシリアスな展開となっています。

その分、イゼッタとフィーネの絆の描写も、切実で胸に迫るものとなっています。はっきりと恋愛関係として描かれているわけではありませんが、単なる友情をはるかに超えた強い絆が感じられる物語です。シナリオ・作画ともに高品質であり、シリアスな百合を求めている方には、特におすすめできる作品と言えます。