アカイイト

2004年発売の和風伝奇ビジュアルノベル。
一人きりの肉親だった母を亡くし、財産だった北の町の屋敷を処分するかどうか決めるため電車に乗って向かった主人公羽藤桂は、夢の中で不思議な女性と出会う。そして運命の輪が回りだし…
テキストや設定は凄く良くできているのですがフラグ管理がかなり大変で骨の折れるゲーム。分岐図もありますがかなり入り組んでいます。エンディングは全部で３２種類。桂が死んでしまうバッドエンドと生き残るが幸せとは言えないノーマルエンド、そして桂が５人のヒロインとそれぞれ幸せな結末を迎えるトゥルーエンドが５つ。
百合的には主人公が持つ『贄の血』をヒロインに与えたりする吸血シーンが見どころ。明確な恋愛感情があるヒロインはほぼいないのですが登場キャラのほぼ全員が重い過去を持っていてシリアスな展開の中、脚本に説得力があるためヒロインと主人公との互いを思う描写はとても感動的です。心中しちゃうヒロインもいるし、特にサクヤさんとユメイさんの桂を思う気持ちは強い。
本格的な日本神話をモチーフにした伝奇作品で百合部分の分量は全体からすると少なめなのですがきわめて強度が強い。百合作品としても素晴らしい出来です。
２０２３年５月に姉妹作『アオイシロ』との同梱リマスター版が発売されるらしく、関連CDが１０枚全てつく豪華版も発売予定だそうです。２０年近い時を超えて支持されている証拠ですね。