白衣性恋愛症候群

10年ほど前に発売された看護師百合ゲーム。
プレイヤーは総合病院に配属された新人看護師かおりという立場で物語を進めていくノベルゲームです。共通ルートから選択肢で好感度をためて各お相手のルートへという流れなのですが共通ルートでの日々の看護師業務の描写は現役看護師がライターさんなだけあってかなり本格的で胸を打つものがあります。
また全体的に恋愛面でもへヴィーな描写が多く、RE:Therapyでは攻略可能キャラ6人に対してエンディングは確か20以上あるのですがグッドエンド以外かなり悲惨な展開になります(印象に残るバッドエンドも多いがそこに至る展開がグッドエンドと共用なためやや唐突に感じる点も)各キャラルートごとにシナリオに出来不出来がある点、選択肢がやや難問過ぎるのも否めないところです。しかしキャラは魅力的で、特にさゆりさんと主任のルートはよかった。
今から買ってプレイするならDL版のRE:Therapyを安売りのときに買うのがおすすめでしょう。少し高価ですが百合好きなら買って損することはないと思います。

一言で言えば、癖のある良作。

シナリオ原案を務めたのは、『ソルフェージュ』、『その花びらにくちづけを』
(青文字シリーズ)の円まどか。
それと同じく、『ソルフェージュ』でライターを担当した佐倉さくら。

原案とあるのは、ディレクターの修正箇所が多かった為。
加えて、シナリオの構成も彼による所が大きい。
これらは設定資料、公式ブログにて確認出来る。

シナリオ構成は丁寧、音楽もピアノ中心に良いものが多く、
各キャラのテーマ曲もある(歌ではない)。
演出やスクリプト関係も普通、効果音が若干合ってないが、
ストレスを感じさせる様な所は特に無い。

キャラのキツイ物言いに辟易する事もあるかもしれないが、
それに対するフォローもいくらかある。

未プレイの方には、追加要素と修正のあるRE：Therapyを勧めたい。
追加された三つのルートは正直な所、手抜き仕様と言って差し支えない。
これらの構成は稚拙で後日談も無く、無印三人とは比較にならない。

この新規ルートはライターが自由に書いたらしく、なるほど、
“その花”などの一人脚本と類似した、溜めの無い簡素な仕上がりとなっている。
それに、同じ表現を何度も使い回す事を手抜きと呼ばずして何と呼ぼう。

舞台が病院だけに病んで見えるキャラもそれなりにいる。

バッドエンドはバラエティ豊か、ネタバレになる為ここでは明言を避ける。
但し、当然ではあるが、これに注力されてはいない。
バッドの為に構成を練り直したりはせず、多くのシーンが流用されている。

マイナス点もそれなりに見られるが、総じて見れば良作と言えるだろう。